サイコムの静音PCを1年使用したのでレビュー

BTOパソコンのサイコムの静音PC「Silent Master NEO」を購入して一年が経ったので使用感をレビューします。端的な感想は「満足」です。

パソコン新調の検討

ノートPCの不満

ノートPCを使用していたのですが、高負荷時のファンの轟音がとても不快でした。

ノートPCは筐体が薄いため、熱がこもりやすいだけでなく、大型のヒートシンクもファンも物理的に搭載不可能です。したがって、冷却のためにファンを高速で回す必要があり、どうしても大きな音が出てしまいます。またファンも薄く小型であるため、音が高く、何重にも耳障りでした。

デスクトップPCの検討

デスクトップPCはケースサイズが大きいので、大型のヒートシンクやファンが搭載できます。冷却能力が大幅に上がるだけでなく、ファンが大型になるので回転音が低くなり、不快さがかなり低減されます。(音の高低の不快度は個人で違うとは思います)

また、拡張性も高く、性能不足を感じた場合に自分でパーツを交換することもできます。

以上の理由からデスクトップを購入することにしました。

メーカー製?自作?

自作も考えたのですが、メモリやSSDの交換程度の経験しか無い上にハードウェアの知識も乏しかったので「BTOパソコン」を購入することにしました。

サイコムで購入した理由

BTOパソコンメーカーはたくさんありますが、各メーカーで同スペックのPCを組もうとすれば「サイコム」は競合他社と比べ少し割高になってしまいます。それでも「サイコム」を選んだ理由は以下です。

使用パーツが明確 & 選択パーツが豊富

「電源650W Gold」ではなく「CoolerMaster V650 Gold-V2 MPY-650V-AFBAG-JP [650W/80PLUS Gold]」などと使用メーカーと品番がしっかり明記されています。また各パーツの種類も豊富で、自分好みのPCを組み立ててもらうことが可能です。

配線が丁寧 & 綺麗

知識がなく自分では判断できないのがですが、ネットで検索したところ、サイコムのケーブル配線の評価はとても高いです。今回はBTOパソコンを購入することにしたのですが、次回以降は自作でいこうと思うので、一度良いお手本を実際に見て参考にしたいと思ったのもサイコムを選んだ大きな理由です。

Silent-Master NEO B550Aを使用した感想・気になった点

静音PCの謳い文句通りの静かさに感動しました。ノートPCの五月蠅さには二度と戻れないと思いました。それでも、しばらく使用していると、気になる点もいくつか出てきたのでまとめてみます。

気になる点とは言っても、ゲーミング仕様(Ryzen5800X・RTX3070)での問題ですので、事務作業では以下に書く点はまったく問題にはならないと思います。

ケースファンが3ピン

使用ケースファンである「Noctua NF-A14 FLXNF-S12A FLX 」が3ピンのため、4ピンではできるPWMによる回転数制御ができません。 冷却ファン 2/3/4ピンで何が違うの?

3ピンは4ピンに比べ、回転数調整(%で指定)の下限値が高いうえに、低回転過ぎると止まってしまいます。低負荷時は最小限の回転数で運用したかったので、4ピンファンが選択できるとよかったです。

ケースファンのケーブル接続

Noctua NF-A14 FLXNF-S12A FLX の最大回転数は1200rpmです。静音ファンとは言え、800rpm辺りを超えると音が気になり出しますし、最大の1200rpmでは「ブォー」とそれなりに大きな音がします。ただ、両ファンにはローノイズアダプタケーブルが付属しており、ファンケーブルに接続することで、最大回転数を落とすことができます。

購入時の状態ではそのローノイズケーブルが使用されており、最大回転数が900rpmに制限されていました。ですので、ファンが最大回転数に達しても音は少し気になる程度ですし、ローノイズケーブルによって普段の回転数も抑えられ、低負荷時にはほとんど音が聞こえません。が、当然、回転数(静音性)と冷却性能はトレードオフです。

残念ながら、長時間ゲームプレイ時のグラフィックボードが出す熱の排出には、900rpmでは風量不足であり、ケース内の温度がじわじわ上がり続けることとなりました。それに伴い、低負荷かつecoモードの5800Xの温度もじわじわ上がり続けました。

そうして、900rpmでは力不足と判断し、ローノイズケーブルを外そうとしたときに問題に気付きました。ケーブルの接続順です。

  1. マザーボード
  2. ローノイズケーブル(900rpm)
  3. 延長ケーブル
  4. ケースファン

の順にケーブルが接続されていました。つまり、ローノイズケーブルを外すにはマザーボードからファンケーブルのコネクタを抜かなければなりません。素人にはなかなか勇気のいる作業です。しかも、大きなグラフィックボードが邪魔になり、うまくマザーボード側のコネクタを掴むことができません。

結局、かなりビビりながら、グラフィックボードを取り外しました。(ラッチを外すのに割り箸を使用)
そうして、以下の通りに配線し直しました。

  1. マザーボード
  2. 延長ケーブル
  3. ローノイズケーブル(1050rpm)
  4. ケースファン

勝手に順番を変えて大丈夫なのか不安でしたが、問題なく動作しました。ただ、1050rpmでも力不足だったので結局ローノイズケーブルは外し

  1. マザーボード
  2. 延長ケーブル
  3. ケースファン

としました。この時は、延長ケーブルとファンケーブルの間にあるローノイズケーブルを外すだけでしたので、簡単に済みました。最初からこの配線順であればありがたかったです……。

ローノイズケーブルを外す弊害

最低回転数も上がってしまい、低負荷時にも少し音が気になるようになりました。

BIOSでの調整で解決

BIOSでのファンチューニングで最低回転数の下限値を下げることができたので、ローノイズケーブルを外しても低負荷時の音が気にならなくなりました。(回転数調整の下限値が60%から40%になりました。後に購入したNoctua NF-A14 PWM(4ピンファン)では15%)

ケースの共振(ビビリ音)問題

PCケースCooler Master Silencio S600のシュラウド周りが思いのほかペコペコで剛性が低く、グラフィックボードファンの振動に共振しているのは気になりました。ただ、普段はセミファンレスで無回転、高回転になるゲーム中などはヘッドホンの装着で音は聞こえなくなるので、許容範囲ではあるかなとは思います。

一応補足として、グラフィックボードが3連ファンなので2連ファンで同問題が起きるかは不明ですし、ケース個体差の可能性もあります。

HDDの騒音

東芝のHDD(DT01ACA100)をオプションで付けたのですが失敗でした(3.5インチシャドウベイ)。HDD特有のカリカリ音はそれほど気になりませんが、始動音と振動が酷く、耐えられるものではなかったです。そもそも静音PCを求めるならHDDを積むべきではなかったのかもしれません。結局、外付けケースに移して防振対策を施し使用しています。

WD80EAZZを換装

その後、必要になり購入した「WD80EAZZ」を恐る恐る5インチベイに換装しました。すると驚いたことに回転数5640rpmのおかげなのか、ほとんど振動がしません。カリカリ音や書き込み時にガッ!ガッ!といった音はしますが、カナル型イヤホンの耳栓効果のみで十分無音化できるレベルです。

HDDを積むなら

低回転かつ無停止(省電力機能がない)のものをお勧めします。

排熱問題の顛末

ローノイズケーブルを外しても解決しなかったので、フロントファンと天井ファン(排気)の計2つを追加しました。合わせてグラフィックボードの低電圧化をしたことで、長時間のゲームでもCPUやGPUの温度がじわじわ上がり続けることはなくなり、負荷と比例するようになりました。

おわりに

総合的には非常に満足しています。気になった点も私の知識不足(パーツ構成やBIOSなど)からくるものであり、評判の高いサポートに事前に相談していれば簡単に解決できていたのかもしれません。

購入時の連絡や梱包もとても丁寧で、初期不良も無しでした。次回もBTOパソコンを買うとするならば、再びサイコムで購入すると思います。